Day 301:デトロイト、そしてカニエ

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取材で日帰りでデトロイトに行った。大好きな場所なので一泊したいところだけれど日本行きの直前でバタバタしているのでここはぐっと我慢。見たかったトム・オブ・フィンランドの展示は、美術館の閉館日だったよ。がっくり。

デトロイトの景気は急激に上向いている。おしゃれなホテルがどんどん建つ。が、その景気はまだまだダウンタウンとミッドタウンに集中していて、雇用は急速に創出されているけれど、その恩恵がまだ外周の辛いエリアにはなかなか届かない。今日、2000年代にデトロイトに越したNJ出身の白人男性の土地調査の専門家と話していたら、彼が「Some really bad shit happened here」と言った。デトロイトを歩いていると、それが誇張でないことがよくわかる。

奴隷制が廃止され、プランテーション経済が衰退したことを受けて、南部の黒人たちは1915年から1960年にかけて北部の工業地帯を目指した。黒人たちは決まった場所に閉じ込められ、動物のような扱いと虐待を散々受けた。映画デトロイトに描かれているとおりだ。奴隷制は制度として終わっていても、すぐには終わらなかった。見えない奴隷制は今でも続いていると思っている人も多くて、私もあながちそれは間違っていないと思っている。

このところ、「Free thinking」の名のもとにトランプ大統領支持を表明したり、オバマ大統領をディスったりしているカニエの騒動を見て、気を取られたら負けだと思ってきたけれど、さすがに奴隷制を「選択」という言葉で表現したのには本当に辛くなった。共和党のレトリックに騙されておる。あーあ。白人ナショナリストたちがニヤついている姿が目に浮かぶ。

備忘録:カニエ・ウェストは共和党による最悪な対黒人宣伝文句の手に落ちた。その理由(The Washington Post)

破産を乗り越えて「再生」へ向かう都市、デトロイトの現在──新たな文化の誕生と、立ちはだかる課題(Wired Japan)

 

Yumiko Sakuma