Day 295:事件を解決するドキュメンタリー

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霧のような気持ちのよい雨が降るなか、近所に取材に行き、ヘアカットをしてもらった。

夜、男友達がイギリスの"bad TV’’にはまっている、というので一緒に見た。The Investigator, a British crime storyというやつである。悪い、という言葉の意味はすぐにわかった。映像のテキスチャーとか、必要以上にドラマチックな感じとか、ちょいと気持ちが悪いのです。が、中身はすごくおもしろくてぐんぐんハマってしまった。夫に殺されたということになっているが、遺体も見つかっておらず、動機や経緯もわからないままになっていた30年前に姿を消したイギリス人女性の「殺人」事件の謎を説く、という番組である。事件を洗い直して、警察が調べきれなかったことをどんどん明らかにしていく。

思えば、ポッドキャストの「Serial」(2014年)、NetflixのMaking a Murderer(2015年)、最近ではポッドキャストのAtlanta Monster やUp and Vanishedなど、ドキュメンタリーが、いわゆる「コールド・ケース」を解決、または解決までいかなくても新たな事実を明らかにしていく、というケースが増えている。こういう一連の動きを見ていると、警察は何をしているんだという気持ちになってくるけれど、ドキュメンタリー作家たちの粘り強さには本当に頭が下がる。

The Investigatorの撮影チームが、獄中の犯人の証言を元に、30年前に事件が起きたとされる現場の土を掘り起こして検証するシーンに「そこまでやるか」と唖然とする私に、「そういえばGolden State Killerも捕まったんだぜ」と横にいた友達が言う。70年代から80年代にかけてカリフォルニアを震撼させた連続レイプ殺人事件(殺人12件とレイプ45件が同一犯人によるものと見られている)。ジャーナリストがしつこく追求して本にもなった、最終的にはDNA鑑定で捕まった人間は元警官だった、と教えてくれた。あとで調べてみると、この事件をずっと追いかけていたミシェル・マクナマラというジャーナリストがいたが、本を完成させる前の2016年に亡くなった。遺された夫が、本を完成させるために別のジャーナリストを雇い、ちょうど今年、「I'll Be Gone in the Dark: One Woman's Obsessive Search for the Golden State Killer」という本を出版したばかりだった、ということがわかった。警察は、直接的な貢献はないと言っているけれど、ファンたちは彼女の功績をたたえている・・・・ドラマだ。ひとつの事件のためにキャリアを捧げるってすごいことだ。

備忘録:ミシェル・マクナマラはゴールデン・ステート・キラーを追いかけている間に亡くなった。今、彼女の夫には殺人犯に聞きたいことがある(The New York Times)

Yumiko Sakuma