Day 190:工場訪問 in 久留米

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ビデオの撮影のために久留米の袢纏工場を訪れた。うっかり寝過ごして飛行機をミスるというピンチも、チームのフォローによって事なきを得た。が、そのおかげでみんながランチを食べるタイミングを奪う結果になった。大反省。

撮影の間、同世代の2代目社長や職人さんと話をしていた。私たちと同じくらい長い間生きている、日本製の織りの機械をまだ何台か使っている。が、機械メーカーの多くは廃業したり、織り機部門を廃止したりしているので、どんどんメンテが難しくなっている。当然ながら部品も作られていない。何かがおかしくなると、自分たちで改造したり、金物屋さんにパーツを作ってもらうなどの工夫をしている。今ある日本製の機械が動かなくなったら、輸入した機械に頼らざるをえないけれど、そうなると風合いが変わってしまうのは必至なのだという。

かつてこのあたりでは、たくさんの袢纏が作られていた。生活習慣が変わり、生産数が少なくなった。近年になって袢纏の良さが最注目されたり、外国からの注文が入るようになった。けれどそういう変化が起きた頃には、機械が古くなり、作り手が高齢化して、生産規模を拡大することが難しくなっている。

工場で何年か前まで、東京のアパレル会社で販売をやっていたという30代の若い職人さんに会った。子供ができて、Uターンしたのをきっかけにここで働き始めた。「もともとモノづくりが好きだったので向いているのかもしれません」と言っていたが、3年やって、まだまだ学ぶことが多いと感じているという。その後、社長とも話したけれど、若い世代の場合、いろいろ他の仕事をやってみた結果、モノづくりに興味を持つ、というパターンのほうがうまくいく。

こうやって日本のモノづくりや伝統工業が注目されても、続けていくためにはいろいろなハードルがある。簡単なことじゃない。工場訪問が大好きである。だから今回のキツキツな日程のなかに工場訪問をねじ込んだ。多くの人の手を経て、商品ができあがっていく過程を見ていて、涙が出そうになる瞬間がある。ひとつひとつのものを簡単に消費せずにきちんと大切にしようと思う。

アメリカでも昨年末に、ノースキャロライナのコーン・ミルズのホワイト・オーク工場が閉鎖した。ビンテージの織り機でサルベージ・デニムが織られる過程を見にいったことのある工場が「需要減のために」閉まったと聞いて、とても悲しかった。古いやり方で作られるものが、ファッション文脈で再び脚光を浴びているにもかかわらず、それでも工場をひとつ支えるだけの規模にはならないのだと。が、かつてテキスタイルのメッカだったノースキャロライナで、今、また少しずつ雇用の数が増えている。だからホワイト・オークのあの織り機たちがまだ誰かの手で救済されるという報を待っている。

備忘録:メイド・イン・ザ・USAは死んだのか、生きているのか(Business Of Fashion)

Yumiko Sakuma