Day 67:ソーシャル・メディアの行方

東京からやってきたクライアント御一行と視察をしているときに、街で見つけたフライヤー。マーク・ザッカーバーグの写真とともに「友達をみんな失いました」と書いてあった。おそらく下についていたであろう、連絡先はすっかりちぎられてなくなっていた。このフライヤーが、本気の友達探しか、風刺か、はたまたパフォーマンス・アートなのかはわからないけれど、マーク・ザッカーバーグは、つくづくネタになりやすい。

けれど最近のマーク・ザッカーバーグのネタは、わりと深刻だ。先日、チーフ・セキュリティ・オフィサーのアレックス・スタモスが、ロシア政府の関係者が作った470アカウントが、計10万ドル相当の広告を購入していた「らしい(likely)」ことを発表した。そしてリベラル系メディア<ザ・デイリー・ビースト>による、こうしたアカウントから出したフェイクニュースを受信した可能性のあるアメリカ人の数を2300万〜7000万人と推定する分析記事が、拡散されていた。ロシアのフェイクニュースのネタ自体は、ずっと報じられているけれど、これをFacebookが認めたのは初めてである。

そして今日、日本で行われた、Twitter社にヘイトアカウントに対する措置を求める抗議が行われたというニュースを読んだ。そしてそれに対して、その手法を批判・揶揄したり、「無料のプラットフォームなんだから、気に入らないならやめればいいじゃん」と突っ込む声が聞こえているということも。けれど、それは状況の本質を読み間違えていると思う。

TwitterもFacebookも、大多数の機能を無料で使うことのできるプラットフォームである。とはいえ、有料無料のいかん、任意かどうかに関わらず、その機能には、メディアとしての機能もある。だから「ソーシャル・メディア」なのだ。これまでは利用規約に沿う限り、ユーザーの主体性にまかせるという方針でやってきて、かつ規約違反を「取り締まる」行為も限定的だったように見えた。けれどこれだけフェイクニュースとヘイトが猛威を奮って、一国の政治に影響を及ぼすほどになってしまったわけだから、TwitterもFacebookも、それに対してどういうスタンスをとるのか、そろそろ明確にすべきであるとの時代の要請があるのだ。Twitterのヘイトの問題は、日本の問題だけではないし、Facebookのフェイクニュースの問題はアメリカの問題だけではない。だからこそ、2社がこれからどういうスタンスをとるのか、興味深く注視している。

ところで、どうして日本では、民衆の一部から異論の声があがると、そのそばから「文句を言うな!」という声が出るのだろう。どうして異論の声にそんなに腹を立てる人たちがいるのだろう。

少し話はそれるけれど、最近、ロレアルと契約を交わしていたトランスジェンダーのモンロー・バーグドルフが「白人はすべて人種差別主義者」と発言したことで、契約を破棄されるという事件が話題になっていた。解雇されたモンローは、それに対して「if you’re not part of the solution, you’re part of the problem(解決方法の一部でないとしたら、あなただって問題の一部です)」と反論した。このフレーズを、最近とみに耳にする。トランプ大統領の登場とともに、なぜか正当化されたような形になっている人種差別、性差別、セクシャル・マイノリティ差別といったことに対して、戦う側に参加しなければ、加担しているのと同じことなんですよ、という考え方だ。

アメリカに本社を持つTwitter社に、日本でヘイトやデマを撒き散らしているアカウントが放置されていることを「抗議」という形でお知らせすることに、何の問題があるんだろう。

備忘録:仲間の白人のみなさん、解決方法の一部でないとしたら、あなたは問題の一部です

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Yumiko Sakuma